報連相が、どの手段によって行われるべきかということは、非常に重要です。
メッセージを伝える為の媒体を正確に選択できなければ、報連相は正確さ・迅速さに欠けた、非効率的なものとなるでしょう。それだけではなく、業務に支障をきたす、大きな問題を発生させてしまう場合もあります。
ここでは、報連相を行う手段を大きく「書いて伝える」か「話して伝える」かの2種類の分けて、各々の手段におけるメリット・デメリット、そしてそれを選択すべき適切なシーンを挙げ、無用な伝達ミスやロスを無くすことへの一助とさせていただきたいと思います。
○例:メール、文書、チャットツールなど
1.記録に残る
伝達内容が記録として残るという特性により、いわゆる「言った言わない」の水掛け論を未然に防ぐことが可能になります。また、一度聞いただけでは理解・記憶に支障があるような難しい内容のものに関しても、その都度メッセージを確認することで、他人の手を煩わせず思い出し、理解を深めることが可能になります。
2.相手と都合を合わせる必要がない
電話や口頭による報連相は、相手と自分の都合を合わせなければなりませんが、
文章による場合はその必要がないので、非常に融通が利くと言えます。
3.多人数への発信に向いている
多人数に対して一斉に報連相を行うことが可能です。上記2.のメリットとも関わりますが、伝達すべき人数が増えれば増えるほど、全員の都合を合わせるのは困難になるので、そういった点でも有用であると言えます。
1.メッセージの確認漏れが発生する場合がある
音声による報連相と違い、伝達が完了する為には受信側がメッセージを自ら確認しなければならないので、確認漏れや見逃しなどが発生する可能性があります。メッセージを発信した側は、送信後にその旨を相手に伝えると問題の発生を防ぐことが可能です。
2.伝達の完了・未完了が把握しづらい
伝達が完了したか否かは、メッセージを確認しただけでは相手に伝わらないため、メッセージを受け取った側は、受信後にその旨を相手に伝える必要があります。
2.口頭や電話より時間がかかる場合がある
キーボードで文字を入力することは、どうしても言葉を声にするよりも時間がかかりやすいため、緊急性を要する場合にはあまり向かない手段と言えます。
・定時報告など、記録性が求められる時
・内容が複雑だったり、内容量が多い時
・相手と自分の都合が合わない時
・多人数に対して伝達したい時
○例:口頭、電話など
1.迅速な伝達が可能である
内容を文字におこすよりも、声に出してしまう方がほとんどの場合早いでしょう。また、相手と自分が会しているため、質問や不明な点などはその場で聞き返せることや、伝達が完了した旨も即座に分かることも、より早く伝達を完了させられることの理由として挙げられます。
2.伝達内容の確認漏れが発生しない
文字による伝達と違い、伝達を行うことと、その内容の確認が同時に行われるので、メッセージの確認を忘れるという事態は発生しません。
1.齟齬(そご)の発生
手元に記録が残らないために「言った、言わない」論が発生したり、内容が複雑な場合には、その場で理解がうまくされなかったり、誤った形で記憶されてしまう可能性があります。
2.相手と都合を合わせる必要がある
相手と自分とが会する必要があるため、あらかじめアポイントを取るなどして、都合を合わせる必要があります。そのため、報連相を行うタイミングが遅れる可能性があります。
3.多人数への伝達は実行しづらい
上記2.とも関連しますが、伝達にかかわる人数が増えるほど、都合を合わせることが困難になり、実行への障害となります。また、多人数に聞こえるよう声量も大きくする必要があるため、その伝達に関わりのない人に対しては、雑音として支障を及ぼす可能性があります。
・緊急性を要する時
・内容が簡潔な時
以上で「文字」と「音声」におけるの報連相についての解説を終わりますが、これらはあくまでも各々のシーンにおおよそ「適している」というだけであり、いつ何時でも、特定の手段によればいいというものではありません。
状況に応じて正確さを優先すべきか、または迅速さを優先すべきか、TPOを常に考慮しつつ、より効率の最大化・問題の発生防止に適した手段を選択できるよう、心がけましょう。